空に描く青

窓と昔


人には

心が痛くなる

ような

過去がある




「俺、兄貴がいたんだ。5歳上の。」

「だったら、今22歳?」

「うん。今はもういないけど。」

江鳩くんは寂しく、笑った。




二年前。

江鳩くんは、15歳。

お兄さんは20歳。

江鳩くんはその日の朝、お兄さんと喧嘩した。

もう原因は忘れてしまったけれど。

中学校に行って、江鳩くんは後悔をしていた。

家に帰ったら絶対に謝ろう、そう決めていた。

でも。

その日、家に帰ってもお兄さんはいなかった。

お母さんは、お兄さんはバイトに行ったと言っていた。

江鳩くんはお兄さんの帰りを待った。

真夜中に電話が掛かる。

病院から。

その街で、一番大きい病院からだった。





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