月光
コンコン




遠慮がちにそっとドアが開かれ、うっすらと光が部屋に射し込み、私を照らした。




「陽菜、大丈夫か?」




心配そうに声をかけてくるパパ。




部屋に静かに入るとパパは、私をギュッと抱きしめてくれた。




「パパ、私…もう…ここには…ニューヨークには…居たくない。辛すぎるよ…」




パパの胸にうずくまりながら、途切れ途切れに今の気持ちを伝えた。



パパは、ただ「わかった」と言って、私の頭を優しくなでてくれた。




「パパは仕事でここを、ニューヨークを離れる訳にはいかないけれど、陽菜は日本に帰りなさい。」



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