Be impatient
「ありがとう。」

私からコーヒーを受け取ったヤナギさんは、そのままカップに口を付け一口コーヒーを流し込んだ。

すると何故かヤナギさんは動きを止め、手に持ったカップに視線を落とした。

「どうかしましたか?」

不思議に思った私はヤナギさんに尋ねる。

ヤナギさんは視線をカップから私に移し「なんで分かったの?」じっと私の目を覗き込むようにして言った。

その仕草はあのバス停の時と同じだった。

「何が、ですか?」

真っ直ぐな目で見つめられると、私の心臓は当たり前の様に騒ぎ立て、耳の奥の方で脈打つ音が聞こえる。

そうなって来ると平静を装うのも容易ではない。

必死で動揺を隠す私など気にもせず「コーヒーだよ。」ヤナギさんは言うが、私にはまだ何の事を言っているのか理解出来なかった。

尋ねるように首を傾げる私にヤナギさんは目を細め、表情を和らげると口を開いた。



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