Be impatient
「思い違いだったみたいだな。」

耳の奥でドクドクと脈打つ音と一緒に、ヤナギさんの少し沈んだ声が聞こえた。

私の好きな人はヤナギさんですよ。そう言葉にすれば、この煩い心臓が少しは大人しくなってくれるんだろうか。

でもそれを受け入れてもらえなければ…

そう考えると胸が苦しくなる。

自分から話しかける事さえ戸惑うのに、気持ちを伝えるなんて出来るわけがなかった。

受け入れてもらえるかどうか…

……あぁ、今までは確信があったから平気だったんだ。

今更ながらそんな事に気付く。

俯いていた顔を上げるといつの間にかヤナギさんは机に向かい、書類を捲っていた。

慌ててヤナギさんの方を向いていた体の向きを変え、机の上に乱雑に広げられている書類に視線を落とした。

仕事の続きをしようとするが、一度ヤナギさんで一杯になってしまった頭がそう簡単に切り替わることなく、動かす手も頭もその動きは鈍かった。



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