恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~

こんなことになるんだったら、いま紫苑さんにカミングアウトしたように“本当はカレシなんていなんだ”って、早くおにーちゃんに話しておくべきだった。

……ってか、そもそも見栄張って“カレシがいる”なんてウソつかなきゃよかった。


「じゃ、よかったらボクとデートしてみる?」

「えっ?」

「お試しってゆーか、1回デートしてみて、もしボクと一緒にいるのが楽しいって思ってもらえたら、そのときは正式に付き合うようにする、ってのはどう?」

「………」


あたしは返事に困った。

だって、これじゃあ、あのときと同じことの繰り返しだから。

中2のとき、おにーちゃんにカノジョがいるのが分かって、それで代わりに相墨くんのことを好きなって、だけどフラれた。

おにーちゃんがやまぶきさんと婚約したからって、紫苑さんと付き合ったりしたら、またあのときと同じことになっちゃうんじゃないか、っていう不安が頭をよぎった。


けど反面、おにーちゃんが婚約した以上、別の相手を探すしかないわけで……そーいう意味では“渡りに舟”だと思うあたしもいた。
< 165 / 263 >

この作品をシェア

pagetop