恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~


「いま誰か好きなヒトがいるのかな?」

「い、いないですよ、そんなの……」


ついさっき、見栄を張って“カレシがいる”なんてウソをついたことを後悔したばかりなのに、またもやウソをついてしまった。


「1回だけデートしてみようよ? あくまでお試しのデートだから、もしうまくいかなかったとしてもお互い恨みっこナシ。そのあとはまた普段どおりのカンケーに戻るってことで、気楽に考えてもらえればいいんだけど」

「………」

「来週だよね? 16歳の誕生日」

「あ、はい……」

たぶん黄ぃちゃんから聞いたんだと思う。

「じゃあさ、デートっていうと緊張しちゃうと思うから、あくまでボクらふたりだけでお祝いする誕生日パーティってことにしようよ? どう? それならいいよね?」

「……分かりました……」


あたしがそう返事をしたのは、両親以外では、学校に誕生日を祝ってくれるような親しい友達もいないあたしが、このまま淋しい誕生日を迎えるくらいなら、紫苑さんと一緒にいたほうがいいと計算したからだ。

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