恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
Act.3 「恋の迷い子」
ある夏の日の放課後、あたしは相墨くんを校舎の屋上に呼び出して……、

「好き」

……だとコクった。


ただそのひとことを言うために、気がつけば2年以上の時間が流れていた。

その間、あたしは15歳になり、そして、都内のとある工業高校の1年生になっていた。


頭上に広がるその日の空は、今にも泣き出しそうな鉛色の空で、校舎の屋上に吹く風もミョ~に生暖かい感じだった。



「あのさ、沢尻……」



そこまで言うと、うつむいて黙り込んでしまう相墨くん。



「…!?」



あたしはエスパーじゃないから、ヒトのココロを読み取るチカラはない。

だけど言わなくても、彼がこれから言おうとしてることが手に取るように分かった。


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