恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~
「こんにちは♪」
アパートの前で軍手をして草むしりをしていた管理人のおばさんに向かって愛想よくあいさつをするあたし。
「あぁ、アンタ、また来たのかい……」
無愛想な態度はいつものことだ。
「母が管理人さんにどうぞ、って」
あたしはバッグの中からキレイに包装されたおみやげを取り出して彼女に差し出した。
「アラアラ、いつもすまないね~♪」
おみやげを渡したとたんコロッと態度の変わるおばさん。
おみやげの中身は“お茶っ葉”だ。アパートの管理人のおばさんは、ウチのお店のお茶のファンみたいだった。
終始ニコニコの笑顔で、あたしを203号室の前まで案内してくれたおばさんは……、
「お兄さん、まだ仕事が終わらないみたいだけど、もし先に妹さんが来たら、カギを開けてあげるよう頼まれてたんだよ~♪」
……と言って、ドアのカギ穴に合鍵を差し込んで回した。
ガチャ