1人のお嬢様の願い
1:家柄
小さい頃の記憶…って言っても、6才くらいの時。


お父様に遊園地に連れて行ってもらったことがある。
お父様はいつも忙しく、家で会ってもあいさつしかかわせないくらいだった。

「詩依良[シイラ]。次はどれにのりたいんだい?」

「えっと…、あれっ!」

普段こんな風にしゃべることがてきないせいか、周りにいるボディーガードの人達も今日は気にならなかった。

「あれは“観覧車”っていうんだよ。あれがいいのかい?」

お父様が観覧車を指差して言った。

「“かんらんしゃ”?
うん!かんらんしゃがいいっ!」

私とお父様は一緒に観覧車へ向かった。


観覧車の乗り場までくるとすごい並んでいた。

「すっごい並んでるねぇ?お父様、やっぱりやめようか?」

私が言うとお父様は第二秘書の湊飛[ミナト]に何か話し掛けた。

「ねぇ、お父様?湊飛になんて言ったのぉ?」

湊飛は私の遊び相手をしてくれていたお兄ちゃんみたいな人。

「ないしょだよ。」

お父様はそう言って教えてくれなかった。


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