世界は残酷な女神の笑みを理に
時計の針は九時を指している。


本来ならば、まだ寝ているのだが、今日は大学のレポートを提出しに行かなくてはいけない為か、珍しく目覚ましをセットしたのだ。


「さて…と…。」


半袖のシャツに腕を通せば、紺色のジーンズを穿き、準備万端と呟いた時、携帯のランプが点滅している事に気が付き、携帯にへと右手を伸ばした。


─…新着メール一件…─


メールフォルダにあるのは、見た事のないアドレス。
送り名の名前はcruel goddess

残酷な女神…?


内容は気になるモノの携帯の時計を見ては、再び現実へと戻されバックを肩に背負えば、電気を消して部屋を体を急かしながら出た。
アパートの階段を駆け足で降りながら、胸ポケットに入っていた自転車の鍵を手に取り、下に置いてある自転車に駆け寄った。

「何とか間に合うか…。」


もう買って何年もしているのか、急ぎ漕ぎ始めると微かだが軋む音が響き、ベルは内部が錆びているのか軽く鳴らしてみようとしても引き金は動きはしなかった。
微かにジーンズの右ポケットが振動し、自転車を漕ぎながら取り出せばランプが点滅しサブディスプレイには着信と書かれた文字が記されていた。



──…着信…──



それが俺の一つ目の過ちだった。


着信したら出るという当たり前の動作。


電話口の向こうからは、声が掛けられる事はなく、逆に話し掛けても応答もない。


悪戯電話だと考え、電話を切った瞬間、微かにだが声が脳内に響き渡った。


──…いってらっしゃい。


「…え?」
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