Darkness Butterfly

「泣くんじゃねぇ。」

近くで声がする。

どうして人は、その人の背負ってる過去の重さがわからないんだろう?

わかったら…

わかったら、あたしは。

「…ったのに…。」

「あぁ?」

「知ってたら、二人を街から出てけとか言わなかったのに。」

「…。」

「知ってたら…。」

「那瑠。」

優しい夏弥の声がした。

「那瑠がいたから、俺ら今ここにいるんだよ?
那瑠が止めてくれなかったら…
きっと俺らは、違う場所にいたはずなんだ。」

例えば、あの世とかね。

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