町の片隅で~ファーストストーリー~
翌朝、奇妙な視線を感じて目が覚めた。
「ん?うわっ!何やってんだよっ!!」
「いや…市原が気持ちよさそうに寝ていたからつい見とれてしまっていた。嫌だったか?」
「起きてそうそう微笑ましい表情で見つめられてたら誰でも驚くだろ。そんな事より、お前は学校行かなくていいのか?」
「行くに決まっているだろう。でも、お前を連れてきてって頼まれたんだ。早く支度しろ。」
「分かったから引っ張るな。」
何で山崎や紗耶香じゃなく、絵里香が選ばれたんだろう。
それに柴神は何も言わなかったんだろうか。
まぁ、何にしろ考えていても始まらない。
「あっ!そうだった。絵里香、制服ないから家で着替えて行くゎ。ところでみんなは制服どうしたんだ?」
「制服ならそこの紙袋に入っている。下川のおじさんが一軒一軒回って取ってきてくれたんだ。もちろん、お前のもある。だから早く着替えろ。」
迷惑な話だ。
うちの婆ちゃんは知り合いだからいいけど、柴神・絵里香・山崎の家の人はさぞかし不審に思っただろうな。
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