町の片隅で～ファーストストーリー～

「相手が嫌がっても好きならその気持ちを貫き通せばいいんじゃねぇか。」
「まだ、自分でも好きなのか分からないんだ。」
「自分でも分からないのに俺が分かるわけないだろ。お前はどうしたいんだ？」
「…分からない。」
「よ～し！今度分からないと言ったら山崎に喋ってやるぞ。あっという間に学校中に広がる。それでもいいか？」
「だって！分からないものをどうやって理解しろと言うのだっ！」
「自分の気持ちを素直に表現しろって事だよ。」
「私は……やっぱりまだ駄目だ。ただ、そいつを見ていると凄く落ち着く。会わない日はモヤモヤした何かが現れて自分が壊れてしまうのではないかと不安になる。それに、そいつが私以外の女子と話していると無性に腹が立つんだ…私は病気にかかっているのだろうか？」
「そりゃ病気だな。“恋の病”にかかってる…なんてな。」
「そうか…これが恋なのか…。」
ジョークをスルーされる事が一番恥ずかしい。