町の片隅で~ファーストストーリー~
腕時計は午前11時を少し過ぎたところだが、中庭にあった時計は午後4時23分を指してる。
これはおかしい。
校舎内へ入ればたくさんの時計があるはず。
この意味不明な場所を特定出来ないのであれば時間だけでも特定したい。
気持ちが空回りした俺は校舎を目指して走りだした。
「うわっ!来ないで下さいっ!」
喰われるとでも思ったんだろう。
前を歩いてた女の子は慌てて走り出す。
いくら走っても辿り着けず、校舎自体が逃げてるようにも思えた。
スタミナがもたず、へばる俺に小動物が声をかけた。
「市原さん、着きましたっ!」
「へっ?」
顔を上げるといつの間にか校舎裏に立ってる。
さっぱり分からん。
頭がおかしくなりそうだ。
「市原さん、ここをコレで掘って下さいっ!」
「うぉおおおっ!何なんだ!この展開はっ!」
頭を抱えて叫ぶ俺。
それを見て物陰に隠れる小動物少女。
何もかもに疲れた俺は言われるがまま指定された場所を掘った。

数分後、ガンッと硬いものに当たり、周りをほじってそれを引っ張り出す事に成功した。
「開けてみて下さいっ!」
頑丈な箱を開け、中に入ってた紙切れを掴むと光に包まれだした。
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