町の片隅で~ファーストストーリー~
「落ち着かねぇ。」
何で電気までブラックライトなんだ。
しかも、宇宙をイメージした不気味な音楽が便器裏から聞こえてくる。
次第に銀河系をさ迷ってるような錯覚を覚え、孤独感を十二分に味わう羽目になった。

それから30分後。
「真也~?どこに行ったのよ!」
「市原さ~ん?聞こえたら返事してください!」
「何で…俺が…こんな目に…」
泣くつもりはなかった。
そもそも何で泣いてるのかさえ自分でも分からない。
ただ、姉妹の声が暖かく感じ、早くここから出して欲しいと思うようになっていた。
「ん?静香~!ちょっとこっちに来てみて~?」
「何?見つかったの?」
「いや、まだだけど…何か泣いてる声聞こえない?ほら、また!」
「あっ!本当だ。ねぇ、お姉ちゃん。まさか、あのトイレに入ってないよねぇ?」
慌ただしい足音が接近してくる。
もの凄く怖い。
周りの星達が煌(きら)めくのを止めて一斉に押し寄せてくる。
ブラックホールの上でもがけばもがくほど、突き出したケツが吸い込まれてく。
その時、大宇宙の一角が勢いよく別世界とつながった。
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