聖職者
マーキスが映した記憶を見た一同は、その場に茫然と立ち尽くしていた。
その沈黙を破ったのは李楼だった。
「・・・なるほど。これで話がつながりました。慎は残された探索班員を助けに行き、我々に連絡をくれた」
皆、黙って聞いている。
「・・・そして、そこでCランクと遭遇し、やられた。京介もやられたのでしょう。Cランクが二体なんて分が悪すぎる」
この場に凛が居なくてよかった、と李楼は思う。
「ルイ元帥、ありがとうございます」
「・・・もう、いいの?」
マーキスは息を切らし、頭を押さえながら李楼に聞いた。
李楼はその様子を見て、これ以上の術の発動は危険だと考えたのだ。
「はい。彼らの記憶は出来るかぎり覗かないほうがいいですし」
「・・・そうだな」
マーキスも納得したような返事を返した。
だが、実際は違った。
李楼が自分を思って自制してくれたことを悟っていた。
同時に、自分の力量のなさをひどく嘆いた。