聖職者
「なんの為に私がいるのよ」
マーキスは強気だった。
「私達はこれから術の中に入るわ。このゴーレムは耐えきれなくて通信不能になるかも」
「・・・本当に入られるのですか?」
「しつこいわね、入るわよ。しつこい男は嫌われるわよ?」
マーキスは会話の最後にそう付け加え、通信を切った。
凛は複雑な顔をして術を睨み付けていた。
「マーキス、入ろう」
「えぇ、私が止めても入るでしょ」
「うん」
その返事を聞き、マーキスはクスリと笑った。
これでこそ、いつもの凛だ。
瞳はどこか愛しそうに凛を見ていた。