学園(序)
昼休みが早く来ないかと思いながら、授業を受けてた頃。

窓際の席なので、授業中は外が見れるようになっている。

あまり見ていると注意されるので、ちら見しつつ授業を受ける。

外では3年が体育をやっているようで、都合のいいことに女子らしい。

体育はブルマーとか昭和を感じさせるものではないが、ジャージでも乙なものである。

3年にはあまり知り合いはいないけど、綺麗な人は他にもいる。

でも、何の偶然か、龍先輩のクラスで、グラウンドを先輩が走っている姿を見かけた。

背中を伸ばして走っており、凛々しいと思わせる。

手を振っても気付かないだろうなと思いつつも、やってしまう。

やっぱり誰も気付かなかった。

こっちから先輩の姿だけでも見れたことをよしとしよう。

小さい体だけど誰よりも早く走っており、トップに近いみたいだ。

でも、トップに出ようとはせずに、そこでスピードを調整している。

一番前に出るのが嫌なんだろうかな。

それが悪いことでもないけどな。

ふと、あることを思い出す。

吟ネエも同じクラスだったはずだけど、姿が見当たらない。

4限目なんだけど、今日は学校に来ないのかな。

もしかすると、街で逆ナンでもしているのか?

あまり考えたくないんだけどな。

今日の様子からみれば、本当に家で寝続けているかもしれないな。

熱とかあるのか?

まさか?何とかは風邪を引かないとか言うし。

そんなことを言った日には、吟ネエに殺人を起こされかねない。

もちろん、犠牲者は俺なんだけどな。

「うーん」

「外を見て品定めか?葉桜あ?」

いつの間にか、傍には男性教師がいて青筋が立っている。

「いえ、家族の心配をしていたのであります」

嘘ではないぞ。
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