恋はピンポンダッシュ!
未来へ続けよピンポンダッシュ!
次の日。お昼休みに夏季は、高校の屋上に海斗を半ば無理やり連れてきた。
「何なんだよ!何か用かよ!」
「どういうつもりで、ピンポンダッシュをしてたの?あの時の子なんでしょ、あなた。常に一番後ろを走ってた…『かいと』って呼ばれていた。」
雲一つない快晴、そしてにぎやかな声がする運動場との対比が、かえって侘しくさえ思える、この二人きりの空間。その言葉を受けて、海斗が語り出した。
「ど、どうだっていいじゃん、お前がそんな事知る必要ないよ。」
そう言って夏季に背を向け屋上から立ち去ろうとしたその時、
「待ちなさいよ!ピンポンダッシュは、もう御免よ!」
と、大声で叫んだので、海斗は驚いて、夏季の方を振り返った。
夏季は泣いていた。しかし、泣いてはいたけれど、顔を覆う事もせず、ただ、その場で両拳をぐっと握り締めて立ち尽くし、海斗の方をじっと見つめていた。
「な、何で泣いてんだよお前…」
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