フランシーヌ
3 オトナになれない雛
ジョーは、煙草をふかしながら、だらだらとメインストリートを歩いていた。

コロニーでは、所定の場所以外でのくわえ煙草は禁止されている。

二十ドルの罰金だ。

それでも、ジョーは、喫煙や飲酒は自分の持って生まれた能力を消してくれるのではないかと思うことがある。

研究所から中学校に通っていたとき、陸上をやっていた友人がぼやいていた。隠れて煙草を吸って、記録がガタ落ちになった…と。

その言葉に影響を受けているのだと思った。

パッパーッ!

突然、交差点で、車のクラクションが激しく交錯した。

ジョーは、事故かな? と思って人だかりのする交差点へ足を向けた。

近づくと、拡声器を通した女性の声が聞こえてきた。

どうやら、戦争に反対する学生たちの抗議集会のようだ。
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