フランシーヌ
二日後、フランシーヌが帰ってきた。

医者から仮退院許可を無理矢理もぎとって、夕方、二人でジョーの部屋に戻った。

帰り道、メインストリートを歩くと、プラカードを持ってデモ行進している人たちの長い列に出くわした。

彼らは、口々に戦争反対、子供たちに未来を、などと唱えている。

フランシーヌの知り合いもたくさん参加していたのだろう。

彼女は、

「今日だけはサボリ」

と言って、ジョーの背に隠れた。

二人でマーケットに寄って、鍋の材料を買って帰った。

野菜を切って鍋にぶち込む…くらいしか、二人の家事能力ではまともなものが食べられそうになかったからだ。

コロニーの人工の空は、やけに夕焼けが赤かった。

終末、という言葉がジョーの胸に浮かんで、消えた。
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