フランシーヌ
10 燃える大気圏
司令部では、フランシーヌの乗った小型艇に向かって呼びかけを続けていた。

危険なので戻ってこいとか、その船では大気圏内で燃え尽きてしまうとか、相手が十二歳の少女なので、かつてハウスキーパーだった女性までが呼ばれ、たいへんな騒ぎだった。

だが、画面の中の少女は、彼らの必死の呼びかけが聞こえているにも関わらず、何事もなかったかのような表情で闘いの悲惨さ、無意味さ、そして、今、生き残っている人々が何をなさねばならないのかを切々と説いていた。

生半可な覚悟でないことは明らかだった。

『今から、イスカリオテ、ナンバー13に接弦します。映像は外部カメラに切り替えます』

至近距離で、戦略衛星の不気味な外観が映し出された。

ミサイルの発射口を開いて狙いをつけているその姿は、真っ暗な宇宙空間に浮かぶ悪魔のようだった。
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