流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「あの2人は…」

聞かれて玲子はふぅ、と大きく息を吐くと正弘に2人のこと、自分も戦国時代に行ったことがあること、その原因がワールドヒストリであること、そして、幸村と自分の間に生まれた子供が幸姫だということを説明した。

「まさか…」

正弘は言葉を失った。その様子を見て、玲子は苦笑する。

「今ではいい思い出だと思ってるし、幸姫っていう大切な娘も出来て、むしろ良かったと思ってるくらいですから。でも…」

少しうつむきながら、玲子は続けた。

「私が過去へ行ったことはもちろん、過去の人物が、未来にきちゃいけないんです」

「玲ちゃん…」

希美がぽんと肩を叩いた。

「過去に行ってわかったんです。居てはいけない人物がいると、そこに起きるひずみはとても大きくなっていく。どんな小さなことでも、それが未来に及ぼす影響は計り知れない」

そっと、幸村達の方を見る。楽しそうに4人ではしゃぎながらすき焼きを食べていた。

「どうして幸姫がゆっきーに会えたのかわからない。ゆっきーがこっちにきた理由も。だけど、ずっとこっちにいることはできない。元の世界に、帰らないといけない日がいつか来る」

気がつけば、玲子の瞳に涙が浮かんでいた。

「あの子には、ゆっきーが父親だって伝えていないんです。それっぽい話は本人の目の前でゆっきーにしたけど。あの子は気づいてないみたいだから」

「…教えてあげないんですか?きっと、幸姫ちゃん、知ったら喜ぶと」

正弘の言葉に、玲子は首を横に振った。
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