流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「どうして?」

「れいちゃんに知らない人についていかないってやくそくしたから」

幸姫の言葉に、男はなるほど、と頷いた。

「俺は幸村。真田幸村だ。童の名前は?」

童の意味はわからなかったが、たぶん自分の名前を聞かれているのだろうと思い、幸姫は自分の名前を教えた。

「こうき!5さいです!」

元気よく、手のひらを幸村の前に突き出して答えると、幸村は笑って答えた。

「コウキか。よい名だな。さて、俺もコウキも、お互いの名前を知っておる。それでも知らない人か?」

言われて幸姫は首を傾げた。その様子を見て、幸村はおかしそうに笑う。

「コウキ、俺の名前はなんと言う?」

「ゆきむら!」

元気よく言うと、幸村はうん、と頷いた。

「では、名前を知っているのに、知らない人なのか?」

言われて幸姫は首を横に振った。

「では、俺がコウキを家まで送ることに、問題はあるか?」

聞かれて幸姫はまた、首を横にふった。幸村はにこっと幸姫に笑いかける。

「よし、では参ろうか」

そういって、幸姫の手をぎゅっと握った。暖かな、大きな手のひらに、幸姫は少しどきどきした。少しぼーっとした表情になる幸姫に、幸村がどうかしたか?と声をかけると、幸姫はにこっと笑って、なんでもないよ?と答えた。
< 14 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop