流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
ぱたぱたっと足音がした気がした。

「れいちゃん?」

声をかけてみるが、なんの反応もない。

怖くて、つらくて。

でもどうしようもなくて。
とにかく体を必死でよじり、動かしてみた。


「目が覚めたのか」

男の人の声がした。どこか優しい感じのする声。

「だれ?」

恐る恐る声をかけてみる。少しの沈黙の後、男の声がした。

「大丈夫か?」

「うん…」

聞かれて頷く。何が一体、どうなっているのかわからないけれど、とにかく人がいた。それだけで、少し、幸姫は安堵した。

ぎしっと何かがきしむ音がした。思わずびくっと体が反応する。

「おとなしくしていれば、何もしない」

そういった男の声は少しばかり申し訳なさそうで、幸姫は首を少しだけ傾けた。

「れいちゃんはどこにいるの?」

聞かれて男は少し躊躇いがちに口を開いた。

「すぐに会えるさ」

男の言葉が、ため息とともに洩れた。

「ためいきついたら、しあわせがにげるよ」

幸姫の言葉に、男が小さく笑った。

「れいちゃんがいつも言ってたの。ためいきついたら、しあわせがにげるから、できるだけしちゃだめって」

「…それじゃ、どうしてもため息が出てしまったときは、どうしたらいいんだ?」

聞かれて幸姫は得意気に言った。

「そのときは、すぐにいきをすえばいいんだって!」
それを聞いて、男はふっと笑い、そうか、と答えて深呼吸をした。
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