月の雫 -君と歩む彼方への道-
「おい、今”おまえほどの魔力”って言ったか?」

「……そういうところだけ耳に残るらしいな」


シルヴァイラはあきれたようにそれだけ言うと。

もう何も言わずに、ふたたび窓枠にひじをついて、夕焼けの空を遠い目で見つめてた。



(現象と、それによって心が感じることをきっちり分けて考えるといい)


きっちり分けて考える、か。


「……おまえは精神魔法をそうやって使えるようになったのか?」

「ぼくはもともとできたんだ」


シルは振り向きもせずに答える。



そうだ。


こいつは天才だった。
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