月の雫 -君と歩む彼方への道-
死者をよみがえらせるだって?



(何考えてんだ、あいつ――)


そんなこと、できるわけがないじゃないか。



いくら魔道士でも、そんなことは宇宙の摂理に反する行為だ。

できっこない。



動揺のあまり、オレは気配を消しておくのを危うく忘れかけた。



(おっと)


集中力が欠けてきたので、オレはバレないうちに、気配を消したままそっと後ろへ下がった。



レイジュラのどこかからかうような声が少しずつ遠ざかる。



「なぜ、そんなことを聞く?


――おまえは、そんなことは無理だということを、本当は知っているはずだ……」
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