月の雫 -君と歩む彼方への道-
それとも、オレが精一杯魔力を注ぎ込んだ”つもり”だったのが、成功していたのかな。

魔力がなくなれば、死んだみたいになるんだろうか。



……でもそれも、また修練を積んで、魔力を練ればいい。

大したことじゃない。



シルヴァイラの苦しみに比べたら。





ふと心に疑念が沸く。


――オレは、本当に100%シルヴァイラのためを思って自分の魔力を注ぎ込んだんだろうか?

それとも、シルヴァイラへの気持ちを……唇を合わせたことを、抱き合ったことを、カムフラージュするために?



(……いや、そんなことない)


そういう、隠すような心もまったくなかったとはいえない。

だけど、シルの苦しみを何とかしたいっていう気持ちはホンモノなんだ。
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