月の雫 -君と歩む彼方への道-
何でも100%なんてことはない。

どっちも真実なんだ。

いろんな気持ちが混ざっていても、別にいいんだ。




ふと見ると、じいさんの茶色い、年老いた瞳が長い間じっとオレを見つめていた。


が、やがて、はぁ……と深いため息を吐いた。


「シレン……

おまえ、いつからわしに心を隠すようになった?」


いつもはエネルギーに満ち溢れた、白髪のその姿が、急に老人じみて見えた。



(ちょっと悪かったな)


初めて、そう思った。



じいさんは長年、オレを孫のようにかわいがってくれた。

オレの魔道士としての成長を、とても楽しみにしているだろうから。
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