月の雫 -君と歩む彼方への道-
-------


第2階級と第9階級の格差はやっぱり激しかった。


6階級以下は6階級以下だけで研修するから、研修中は一切顔を合わせない。

食事時間すらずれている。


階が違ってしまったから、廊下ですらすれ違わない。



それから数日間は、オレはシルヴァイラの後ろ姿すら、見ることはなかった。




(どうしてるんだ、あいつ――)


元気にしてるのかな。




あのとき、涙を流して恐ろしい苦しみを語ったシルヴィ。


あの抱きしめた肩の細さも、肌の感触も、オレの手に生々しく残り香のように残っているのに。



なのに。


あいつの姿はオレの前からぱったりと消えていた。
< 182 / 288 >

この作品をシェア

pagetop