月の雫 -君と歩む彼方への道-
ズキン。

胸が痛む。



(これは、心臓が一度止まったからか?



――それとも?)



嫉妬してるのかな。




じいさんの相変わらずの長い口上の間、オレはシルヴァイラの細い背中を食い入るように見つめて、ただひたすら心の中で話しかけてた。


届くわけもないのに。






知らない間に、昇格・降格の発表が始まっていた。

いきなり自分の名を呼ばれて、オレは飛びあがった。


「第9階級 シレン」


何だよ。

まだ下がるのかよ。


もう、どうにでもしてくれ――
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