月の雫 -君と歩む彼方への道-
何だ?

今の。


ものすごく近く……耳元で聞こえたぞ。


思わず、隣のヤツを見ると、思いっきり寝てるし。



と、思ったら。

しみじみと深い安堵の念が、どこからか沸きあがってきた。


(ああ、よかった……)


(何だ?これ)


オレの中で、心が二つに割れているかのような、奇妙な感覚。


この安堵は、オレの心でもあり、そうでもないともいえた。





その瞬間。


シルヴァイラがさっと振り返った。

フードと肩のわずかな隙間から、金色にきらめく瞳がまっすぐにオレを射抜いた。



(――シル?)





今のは、シルヴァイラの?
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