月の雫 -君と歩む彼方への道-

2.ふたつの壁

夜、ベッドに入って、カーテン越しに聞こえてくるルカのいびきを聞いていた。

とっても規則的なのに、ときどき不規則な音が入るのがどうも気になって、ちっとも眠れない。



(ったく、なんて気になるいびきだ)


ルカはいいやつだが、いびきだけはどうも許せない。


なんて心の中で悪態をついていると、ふといびきに混ざって別の音が聞こえたような気がした。



(……ン)


ん?


(……レン?)


なんだ?今の。


(……レン。

聞こえるか?シレン)


頭に直接響くような声。
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