月の雫 -君と歩む彼方への道-
(どうした?シル)

(こいつ……)


シルは、オレの方を見て、怪物を指差した。


(帰れって言っても帰らない)



「ははは」


オレは思わず声に出して笑ってしまった。

隣のルカがぎょっとしたようにオレを見る。


(そんなの知るか。

一生面倒見てやれよ)


(……)


シルがフードの下からオレをにらみつけるのが遠目に見えた。



(こいつ、おまえに嫉妬してるみたいだ、シレン)

(……なんでだよ)

(……)


シルがまたオレをにらみつける。
< 209 / 288 >

この作品をシェア

pagetop