月の雫 -君と歩む彼方への道-
(……あいつは完全に心を閉ざしてる。

ぼくでもあの壁は抜けられない)


(そう……か)



完璧な優等生の仮面の下にあるレイジュラの素顔は――

誰にもわからない?



(待てよ……

シレン、手を貸せ)

(え?)

(力を合わせれば、レイジュラの心のブロックが破れるかもしれない)

(……わかった)



シルヴァイラの細い手が下から伸びてオレの手をぎゅっと握り。

オレは、シルの手をぎゅっと握り返した。


やわらかい、小さな手。



(シレン、集中しろ)



シルヴァイラの低い声を合図に。

シルヴァイラの薄く光る探索の触手がするするとレイジュラの心に伸びていくのが見えて――




いきなり、目の前に無数の光る玉のようなものが一気に襲いかかってきた。



(うわ、何だこれ)
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