月の雫 -君と歩む彼方への道-
オレは内心あせりつつも、必死で叫んでた。


「レイジュラのお父さんが非常に厳しい人だったっていうのはわかったよ。

レイジュラに過度の期待をして――プレッシャーをかけて、何もかも完璧であるように要求したんだよな。

完璧であればあるほど、さらに上のレベルを要求されて、親の希望にがんじがらめになってたんだよな。



だから、”何をしたか””何ができるか”で、自分の価値が決められるように感じながら生きてきたんだな、レイジュラは。



親の期待に応えて、評価されるために必死で努力して――

優秀さをどれだけ評価されても、自分が何者なのかわからなかったろ?


だれにも理解されてないって感じてたんだろ?


親御さんが、自分そのものを見てくれているようには感じていなかったろ?



……そういうストレス、ひずみが、今のあんたを作ってるんだ」



「……おまえに何がわかる」


レイジュラの口元からふと笑みが消え。

目つきがいっそう鋭くなったかと思うと。

また何か石のようなものが頭上からバラバラ降ってきた。
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