月の雫 -君と歩む彼方への道-
冗談めかしてふくれると、にっこり微笑むじいさんに笑って手を振り、馬に乗ろうと手をかけた。





と、そのとき。



「待ってくれ!」


凛とした声とともに。

馬のひづめの音が近づいてくる音がした。



(―――?)


声の方を振り向くと。


白い馬にまたがって、ものすごいスピードで丘を駆け上がってくる、すらりとした姿が見えた。


黒いつややかな髪がうしろに流れて、ひらひらと旗のように舞っている、あれは――




「レイジュラ!」
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