月の雫 -君と歩む彼方への道-
次々に掛けられる村人たちの声が大合唱となって、あたりにやわらかくこだまする。

かすみの中に見える村人たちの表情は、みんな穏やかだった。



オレたちは時間も忘れて、じっとそれに聞き入っていた。





「シルヴァイラ」



ざわめきがおさまった中に、ふと重々しい声がした。




「……父さん」




「……本当に、すまなかった。

わたしは死んで当然だ。


おまえのすべての罪は、わたしの罪だ」


白い肌に銀の髪。

どこかシルヴァイラに似た、整った顔立ちに寂しげな笑みを浮かべて。


となりには、巻き毛の女性が寄り添っていた。

あれは……?
< 280 / 288 >

この作品をシェア

pagetop