月の雫 -君と歩む彼方への道-
それは、レイジュラのあまりのレベルの高さゆえだったかもしれないけど。




――オレは一体、何を望んでる?



(あの子のそばにいることで、きっとおまえにも利益がある)


じいさんにあんなことを言われて、オレもあせってるのかな。



……しかし、この冷たい態度から一体何を学べと?



(おまえになら、心を開くかもしれない)


とてもそんな風には思えないよ、じいさん。



(わしは、おまえに期待してるんだよ、シレン)


オレに背を向けて、とことん存在を無視するシルヴァイラの細い背中を見ながら。


よくわからないじいさんの期待に。

応えられるようには、とても思えないオレがいた。
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