天使のような微笑で
「何かあったの?」

「いや・・・特に何も・・・」

 七輪の上に網。
 その上で、ジュージューと油の焼け落ちる音が聞こえる。
 今日の夕飯は焼肉。
 
 いっぱい食べて精出して、曲作り頑張ろう。とか言って入った店なのに。
 箸がすすまない。

 肉が焼けていく様をじっと見ている。

「今日、変だよ」

「疲れているだけだと思うよ」

 ニコニコ笑ってごまかした。

「休み少ないもんね」

「でも、楽しいよ?」

 焼けた肉をポン酢しょう油につけて食べる。
 網焼きのおかげで油も落ち、さっぱりしている。
 肉をほおばり、またニコニコと笑った。

 そんな俺を見て、相手も微笑んでくれた。
< 57 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop