ハンカチ落としましたよ

ばあちゃんの亡きあと2

タカシは
妻と
ゆっくり話す
時間が持てなかったが、

ある日の日曜日の午後、

妻と
ゆっくりと
時間を持つことにした。



「最近少し
おかしくないか?

うちもなにもすべて
少しずつだけど、
ずれて行っているような
気がするんだよ。

なんかこう~、
家族らしくないって
言うか、しっくり来ない
感じがするんだよ」


そうタカシは切り出した。



「そう?
私は変わっていない
気がするんだけど・・・」


と妻が言った。


「いや、なにかが
変わっている
感じがするよ。

ばあちゃんが
亡くなってからお前、
なんか暗くなって
塞がって仏壇に
向かってばかりいるだろ?

それは別に、
悪いことだと思わない
けど、俺にはなにも
相談がないから、
少し心配で・・・」



とタカシは正直に伝えた。


「何かあるなら、
正直に伝えて
ほしいと思う。

今までいろいろ
驚いたことはあるけど、
もう驚くことは
ないと思うから、
ちゃんと話してくれよ。

ばあちゃんから
なにかメッセージが
あるのか?

それともばあちゃんが
亡くなってから、
君の力になにか変化が
あったのか?」・・・。





妻はしばらく
黙っていたが・・・





「なんでもないわよ。
確かに前に比べれば
ばあちゃんと話すことが
多くなったと思うけど、

ばあちゃんが
亡くなったこととは
関係ないから大丈夫。

あ~子供達が戻るから
夕食の準備をするわ。」




と妻は台所に向かった。


タカシはなにか
後味が悪い感じがしたが、
それ以上妻に声をかける
ことはできなかった。


その場に
居づらい
こともあって



「少し散歩してくるわ」と

妻に伝えて外に
出ることにした。


妻は

「わかった。
いってらっしゃい」

と声だけを掛けてくれたが、
野菜を刻む音が
していたので、

背中を向けたまま
だったなと思いながら
タカシは近所の公園に
向かった。

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