オレンジジュース《短》
会計を済ませ、弾むような店員の声に背中をとんと押されて店を出る。
うっすらと汗をかいたボトルを暫し見つめたあと、キャップを捻る。
ぷしゅっという軽い音ともに開いたそこに唇を押し付けて一口、口にする。
喉を鳴らして流し込むと、直ぐに濃厚なオレンジの香りが、口の中に広がった。
甘酸っぱく、暫く消えない後味。
その「本物」のオレンジジュースは、あのファーストフード店で飲んだオレンジジュースとは、全く別物だった。
息をついて
目を閉じる。
口のなかで、じわじわと己を主張する酸味が、胸を掻き乱す。
甘い言葉。
望んだとおりの恋愛。
たしかにそれは、私の描いていたすべてだった。
しかし、その何処に
真実が、あったのだろうか。
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