不機嫌な果実


ズシンッときたことは内緒。


柏木に対して、憧れのような感情は抱いていたものの、それ以上でもそれ以下でもない。


「そうですか」


そう言ったきり、小菅は黙ったままだった。


麻紀の頭の中では、柏木の横に並ぶ、小菅をロングヘアーにして純白のウェディングドレスを身に纏った姉を想像した。


神父さんの前で、ウェディングドレスのベールを脱がせようとする柏木の顔が目に浮かぶ。


あの人はどんなふうにベールを上げ、小菅の姉に『誓いのキス』をするのだろう。


そんなことをぼんやりと考えていた。



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