不機嫌な果実
ガチャリと鍵を開ける音が室内に響き渡った。
たちまち麻紀の心臓は煩いほどに脈を打ち始めた。
『なんすか―?まだ寝てたのに』
今まさに起きました、と言わんばかりに眠たそうにドアに歩み寄り、大きな欠伸までするというおまけつき。
あんな演技が即興でできるなんて……!
小菅の特技を見つけた瞬間だった。
でも、感心している場合ではなかった。
あの調子で、余計なことでも口走ったものなら……。
ぶるんぶるんと、頭を大きく横に振った。
その先を考えただけで恐ろしくなってきた。