不機嫌な果実


……あっ!またあんな顔してる。 


さっきからデレデレしっぱなし!


さぼっていないで、ちゃんと仕事しなさいよね! 



沸き上がる胸の痛みと嫉妬とで、麻紀は苛々を抑えることができなかった。


たちまち仕事どころではなくなった。 


椅子をくるりと回転させると、携帯を片手にデスクから立ち上がった。 


「ごめん。ちょっと席外すから何かあったら携帯に連絡して!」


隣に座る同僚に声を掛け、休憩室へ向かおうとした。


そのとき、チラッと後ろを振り返ると、部長まで加わり、楽しそうに話し込んでいる三人の姿が麻紀の視界の隅に映った。 


……もう、いい加減にしてよ!




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