不機嫌な果実


付き合いをオープンにすることで、仕事に支障を来(きた)すことを望んでいなかった彼らにとっては好都合だった。 


『仕事とプライベートは切り離す』という考え方も、互いに一致していた。


何より、そうしていることがお互いにとってプラスになっている、と信じて疑わなかったからだ。 


いや、少なくとも、麻紀はそう信じていた。





――そう、あの日までは。













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