空からのラブレター
それから、しばらくお喋りをしていた。
病気が無かったら、長いお喋りなんてしなかったかな?出来なかったかな?


「結衣、頑張りなよ」

帰り際にお姉ちゃんが言った。
うん。頑張って生きてみせるから。それと、宗吾さんのことも。

病気に負けない。
沢山笑って沢山泣いて強くなっていくから。

宗吾さんが隣に来た。
とても優しい顔をしていた。

「お父さんと結衣のこと話してたんだよ」

《どんな?》

意地悪に笑って私に言った。

「結衣の小さい頃のこと。いやー、まさか結衣がね…」

ええ!?なになに!?
私、何かやった?
やってないよね。

私は、宗吾さんを見上げた。
本当に意地悪で、優しい人。


「大丈夫。可愛いとこ教えてもらっただけ」

《嘘!》

私達の幸せの時間だった。


―夏―

誰よりも、あなたに近づけた季節。
< 55 / 72 >

この作品をシェア

pagetop