美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 美幸さんは頭上の赤い陽炎を睨みました。
 「炎竜…っ!」
 と言ったその言葉には何の迷いもありません。
 これこそが“竜”なのであり、もはや逃げる気も目を背ける気もありません。

 ただ、真実を知りたい…。


 頭上3メートルには、赤い竜が翼を翻して2人を見下ろしていました…!

 【“アポロンの娘”め…。クッ…ハハハッ…やってくれる……】


 「待って、イグニス!」

 (あれ、なんで私は『イグニス』と呼ぶんだろう……!?)



 【…その名で呼ぶな、“アテナの侍女”よ…】

 
 「真実を話して!」
 

 【……指輪を追え…。『ハデスの后』を追え……。“アテナの侍女”よ……】


 「!? あ、待って!」


 【……“アポロンの娘”が眠れば、私の定義(顕現)も曖昧になる…】
 炎竜はより一層、体を薄めていきます。
 【また会うだろう…“アテナの侍女”よ】

 炎竜はそう言うと徐々に体の赤を薄め、夕日の橙に溶かされるように消えてゆきました。
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