美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!
 「か、“感情が逆流”してるんだ…」
 その博士の声色は、まるで核兵器の実験に成功してしまったオッペンハイマー主任を思わせるそれでした。

 “感情が逆流している”と博士は言いました。
 
 ……どういう事でしょうか。
 いえしかし、まだその意味が分からない我々でも、ともかく、少年の中で何か恐ろしい事が起きている事は、博士のその声色だけで十分に理解できました。


 「なにを言って…?」
 少年は不思議と苦しそうに声を詰まらせます。


 「…そうか…。そうか…! そうなのか!」
 しかし博士はそれには応えてやらず、一人、得心を得ていました。 
 「だから『雷王の指輪』は規格外の力を持つのか…!」


 一方……
 「……ッ!!」 
 と、唐突に少年は耳を塞ぎました。

 少年の耳に…『柔らかな子供の腹部が男の力で蹴り上げれる音』が、聞こえてしまったからです。
 にぶい音の中に、乾いた音が混じっていました。肋骨が折れたようです。


 「説明しろ! 僕の耳に響く、この子供達の悲鳴は何だ?」
 少年は声を荒げました。
 あるいはそれは、悲鳴でもありました。
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