美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ！

　「それにねぇ、私だって竜使いだったのよ！　いえ、今だってそうよ！
　アナタと出会ったときは私は１４歳で、中学生で、ユイちゃんと同年代で、既に能力者だったわよ！　知らなかったとでも言うつもり！？」


「いや…」と、何か考える風に裕は神妙に言うと、長く沈黙しました。

　
　……………
　
　長い長い沈黙が続きました。
　その沈黙の後、彼はまず笑い出すことから始めました。
　屈託の無い穏やかな笑いでした。
「……ハハハ、君のそんな大きい声を聞いたのは初めてだ」


　「だ、だって…」と、美奈子はいつもの彼女に戻ります。
　「あ、あまりに裕さんがだらしないんだもの…」


　「いや、確かにそうだよ…。すまない…んで、ありがとう美奈子」


　「え、ええ。…そうよ、必要以上に怯えるコトなんてないんですよ？　裕さん、中学生の私に言ってくれましたよね、『“竜”は感情のニキビなんだ。ちょうど過敏な肌みたいに君は他の人より、ちょっとだけ感じやすいというだけさ』って…」


　「あぁ、そうだな」


　「…元気出た？」


　「ありがとう…俺はバカみたいに何かを履き違えていたんだ。…ハハハ、そうだよな。　何もかも世界は変わってないんだ…。俺だけが独り相撲、俺が勝手に動転しちまっただけで」